2015年4月13日月曜日

ゴムの木のお話


東京のアパートの居間に「ゴムの木」がある(いる)。

ここに引っ越した時、なにか緑が欲しいね、と買ったものです。

日当たりが余程気に入ったのか、その「ゴムの木」はどんどん枝を伸ばし、とうとう天井に届くまでになった。

好き勝手に伸びたその枝ぶりは、お世辞にも素敵とは言えず、ましてや狭いこの部屋には大きすぎた。

花屋さんの助言に従って剪定を試みたこともあったけれど、その後も不恰好な姿は変わりませんでした。



先週末、夫と散歩中に恵比寿の花屋で素敵な木を見つけた。

明るい緑色の葉が軽やかで、風情ある枝ぶりの美しい木。

私たちは一目でその木が気に入ってしまった。

店によると、古い植物を引き取るサービスも行っているという。

しかし引き取り後は処分、という話。

夫と私は顔を見合わせた。

「そういうこと花屋さんが言うなよ」と心の中でつぶやきつつも、なんとなく2人とも新しい木を迎えたい気持ちになっていた。



週が明けて、居間の「ゴムの木」の葉が一枚突然黄色くなり始めた。

まだらに変色した葉っぱは、簡単に幹から取ることができた。

昨日になって、今度は更に2枚の葉が変色した。



夫に「ゴムの木さ、私たちが買い換えようとしてるの、気付いちゃったのかな。」と言った。

冗談のつもりで言ったのに、夫は「こいつ、メゲてんの?それ聞くと、なんかかわいそうだなぁ。」「少し散髪してやるか」と言って、茂って重なった葉を数枚取ってくれた。

葉を取ると、幹からポタポタと白い樹液がこぼれ落ちた。

私はそれを見て、なんだか「嬉し涙」のような気がしたのです。


私たちの暮らしを見守りながら、そこに佇んできた「うちのゴムの木」。

まだまだ一緒に過ごしていけそうです。